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角膜の役割を眼科医が解説!角膜内皮細胞とは?ICL手術で角膜内皮細胞数は減少する?

角膜は、目に入ってくる光の焦点を網膜上に合わせるための屈折力を持つ、レンズのような役割をしており、私たちが物を見るために重要な働きをしています。
角膜が何らかの原因で傷ついたり、形が歪んだり、病気になって濁ったりすると視力が低下してしまいます。

今回は、そんな大切な角膜の仕組みや役割について解説していきたいと思います。

 

この記事でわかること

  • 角膜の仕組みや役割
  • 角膜内皮細胞とは
  • ICL手術によって角膜内皮細胞数は減るのか

 

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角膜の構造とはたらき

角膜は眼球の最表層にある透明な組織です。
いわゆる「黒目」の一番表面にあります。
直径1.2cm・厚さ0.5mm程度の大きさで、中央を頂点としたドーム型の形状をしています。

角膜 構造

 

角膜には異物が入ってこないよう眼球の表面を保護するバリアとしての役割と、入ってきた光が網膜上に焦点を結ぶよう屈折させるレンズとしての役割があります。

体の組織は血液を通じて酸素や栄養が供給されていますが、角膜には血管がなく、涙液や房水を介して酸素や栄養を取り入れています。

角膜は生きた細胞であり、涙液からは酸素を、房水からは栄養を受け取り、エネルギーを生成しています。

また、角膜は涙液に覆われていることで表面がなめらかに保たれており、角膜にとって涙液は欠かせない存在ということがわかります。

角膜 構造
画像参照元:愛岐中央眼科

角膜は表面から順に上皮細胞、ボーマン膜、実質、デスメ膜、内皮細胞の大きく分けて5つの層でできた層状構造になっています。

角膜のトラブルは早めに治療を

一番表層側にある厚さ0.05mmの「角膜上皮」とよばれる層は、新陳代謝がとても活発で、目に入ったゴミなどの異物で表面が多少傷ついたとしても早ければ数時間で修復されます。

しかし、ダメージを受けやすいデリケートな組織でもあり、目の表面が乾燥していると特に傷つきやすく、傷を受けすぎると自己修復が追いつかなくなってしまいます。

パソコンやスマートフォンを長時間使用するなどして目を酷使しているとドライアイになりやすく、そのまま放置していると角膜上皮が傷つきやすくなるため、こまめに休憩して目を休ませることや、目の潤いを保つために点眼などを行うことが大切です。

角膜上皮の新陳代謝は活発で修復が比較的早い一方、角膜上皮よりも奥にある「角膜実質」は細胞の数が少なく、傷の治りが遅いです。

角膜上皮よりも奥の角膜実質層にまで傷や炎症などの症状が進んでしまうと治りづらくなり、病状も深刻になる可能性があるため、自覚症状が少なくても角膜上皮のトラブルは放置せず、速やかに治療をしましょう。

角膜内皮細胞とその役割

5つの層で成り立っている角膜のうち、最も内側にある細胞を「角膜内皮細胞」といいます。
角膜内皮細胞は呼吸や代謝を行い、角膜の透明性を保つという重要な働きがあります。

角膜はとてもむくみやすい器官で、水分が染みこむと濁ってしまうため、角膜内皮細胞が染みこんできた水分を常に排出して透明性を保っています。

角膜の透明性が失われると眼の奥に光が届きにくくなり、見えにくさや視力の低下につながるため、角膜内皮細胞の透明性を保つという役割が大切であることがわかります。

また、前述したように、角膜は血管がない代わりに涙液や房水を介して酸素や栄養を取り入れています。
角膜内皮細胞は取り入れた栄養分を角膜に行き渡らせる大切な役割を果たしています。

角膜内皮細胞の平均はどのくらい?

角膜内皮細胞の平均値は2500〜3000個/m㎡です。

平均値以下の方はこれ以上減らさないようにコンタクトレンズの装用を控えるか、酸素を透過しやすいコンタクトレンズに変えることをおすすめします。
また、細胞数が2000個/m㎡以下になってしまった場合はコンタクトレンズの装用をやめ、眼鏡での生活をした方が良いとされています。

1000個/m㎡を下回ると正常な機能を維持できなくなり、500個/m㎡を下回ってしまうと角膜のむくみがとれなくなったり、角膜が白く濁るなどして視力が低下してしまいます。

最悪の場合、角膜移植が必要となる場合もあります。
角膜移植とは混濁してしまったり変形してしまった角膜を除去し、新しく透明な角膜を移植する手術です。

原則全身麻酔を必要とする手術であり、リスクも0ではないため、このような手術を必要とする事態にならないためにも、今からでも角膜内皮細胞を減らさないよう習慣を見直していきましょう。

コンタクトレンズの使用で角膜内皮細胞が減少する?

 

icl 屈折矯正

角膜内皮細胞は先ほど解説した通りとても重要な役割を果たす角膜の細胞ですが、角膜内皮細胞が減少してしまうと再生することはありません。

では、減少しないようにするにはどうすれば良いのでしょうか。

角膜内皮細胞が減少する原因は主に加齢、長時間・長期間のコンタクトレンズ装用や誤った使用、目の手術などが挙げられます。

コンタクトレンズは眼球全体をレンズで覆ってしまうため、長時間・長期間の装用によって角膜が慢性的な酸素不足になりやすいです。

角膜が酸素不足に陥ると細胞が死滅してしまうため、角膜内皮細胞を減少させないためには長時間のコンタクトレンズの使用を避け、可能な限りメガネを併用するなどして角膜が酸素不足にならないように心がけましょう。

コンタクトレンズをつけたまま寝てしまう、必要なケアをしないなども角膜の酸素不足につながります。寝る時は必ずコンタクトレンズを外し、一定期間使用するレンズの場合はレンズの汚れをしっかり落とし、清潔に保ちましょう。

現在使用しているコンタクトレンズが酸素透過性の低いタイプの場合は、酸素透過性の高いレンズに変更を検討してみてください。

ICL手術を受けると角膜内皮細胞は減少する?

ホールicl

ICL手術で角膜内皮細胞が急激に減少するということは報告されていません。

従来のICL手術は2段階手術で、手術前にレーザーで虹彩を切開する必要があったため、角膜内皮細胞数の減少のリスクがありました。
現在は虹彩を切開する必要がなくなったため、角膜内皮細胞数の減少を抑えられています。

しかし、眼の手術全般が有するリスクとして、角膜内皮細胞が減少する可能性は0ではありません。手術である以上リスクが全くないということはありませんので、そういったリスクも理解した上で手術を受けるかどうか選択するようにしましょう。

また、そもそもの角膜内皮細胞数が少ない場合、ICL手術を受けることができない場合があります。ICL手術の適応検査で知ることができますので、気になる方は一度適応検査を受けてみてください。

まとめ

今回は、角膜の仕組みや働き、角膜内皮細胞の重要性について詳しく解説いたしました。
角膜は私たちが物を見るのにとても重要な役割を果たしている組織です。
角膜の細胞は減少してしまうと再生されることがないため、少しでも減らさないよう日々の生活を見直していく必要があります。

特にコンタクトレンズを使用している方は、角膜内皮細胞数が減少しやすいというリスクがあります。コンタクトレンズを正しく使用し、装用時間を必要最低限にとどめるなど、心がけていきましょう。

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