近年特に注目度の高まりを見せているICL手術。
有名人やアスリートなどがICL手術を受けたと報告するSNS投稿を見かけることも増え、最近になってICL手術という視力矯正方法を知ったという方も多いのではないでしょうか。
ICL手術は比較的最近認知が広まってきた近視治療のため、レーシックより歴史が浅いと思われがちですが、実はレーシックが最初に報告された1990年より前の1980年代にすでに開発が行われていました。
<< 当サイトの記事はすべて眼科医が監修しております >>
この記事でわかること
- ICL手術の歴史
- レーシックよりもICLの方が歴史が長い
- ICLの技術の進歩
ICL手術の歴史は実はレーシックより長い!
ICL手術の歴史は1980年代に始まりました。
比較的最近になって広く普及し始めたため、レーシックよりも新しい治療方法だと思っている方が多いと思います。
レーシックの最初の報告は1990年代なので、実はレーシックよりもICLの方が歴史が長いです。
ICLは1986年にヨーロッパで初めて使用され、1997年にヨーロッパで認可されました。
2001年にカナダ、2002年に韓国、2005年にはアメリカの認可を受け、現在では世界70ヶ国以上で認可を受けています。
日本では1997年に山王病院アイセンター・センター長の清水公也医師が初めてICLを導入しました。
2002年の臨床治験を経て、2010年2月に厚生労働省に認可されました。
1980年代に誕生し、研究・改良を進められてきたICL手術ですが、日本に入ってきたのは開発から20年も経ってからです。
それだけ時間をかけてより安全な手術法になるよう確立されてきたと言えます。
ICL手術は40年以上の歴史を持つ屈折矯正手術であり、世界中で累計300万件以上の症例実績があります。
進化を続けているICL
目の中では水が循環しており、これを「房水」と言います。
従来使われていたICLレンズは房水循環(=目の中の房水の流れ)が悪くなることから約1~2%の確率で白内障が進行するというリスクをはらんでいました。
また、緑内障などの合併症のリスクもあり、術後にレーザー虹彩切開を必要とするケースが多く報告されていました。
そうしたリスクを軽減するために生まれたのが「ホールICL」です。
出典:スタージャパン合同会社
日本で初めてICLを導入した山王病院アイセンター・センター長の清水医師が「Hole ICL KS-AquaPORT」を考案し、2007年にホールICLを使用した世界で最初の手術を行いました。
「ホールICL」はレンズの中央に極めて小さな穴が開いているレンズのことです。
穴が開いていることによって房水の流れを良好に保つことができるようになりました。
虹彩を切開する必要も無く、角膜内皮細胞数の減少も抑えることができます。
このホールICLの誕生によって房水循環が改善され、白内障や緑内障等のリスクが軽減しました。
現在世界中で使用されており、国際的なスタンダードとなっています。
また、2016年には光学部がより大きくなるよう再設計された「EVO+ICLレンズ」が誕生し、術後のハロー・グレア(夜間に光がにじんで見える現象)の発生を抑制する効果が期待できるようになりました。
このようにICL手術で使われるレンズも進化しており、従来のデメリットやリスク、そして患者さんの目の負担が軽減されつつあります。
パソコンやスマートフォンを日常的に使うようになり、近視になる人が増えている現代においてICLが果たす役割は大きく、今後もより広く普及していくでしょう。
まとめ
今回は、ICL手術の歴史とレンズの進歩についてご紹介しました。
比較的新しい屈折矯正治療と思われているICL手術ですが、実はレーシックよりも歴史が長く、1980年代には開発が始まっていました。
長い年月をかけて研究・改良が行われてきたため、より安全性が確立された状態で日本で普及していると言えます。
手術である以上、合併症等のリスクは0ではないものの、従来のレンズよりもリスクが軽減されるよう改良されており、今後も技術の進化が続いていくと期待できます。
「メガネやコンタクトレンズを使用する生活から解放されたい」と悩んでいる方は、ぜひICL手術を検討してみてはいかがでしょうか。
ICL手術について、以下の記事でより詳しくまとめていますので、こちらもぜひ参考にしてみてくださいね。
↓↓↓↓