視力矯正手術として20年以上も前から世界中で広く普及しているレーシック手術。
日本でも近視や遠視、乱視などの屈折矯正治療に用いられています。
加齢による視力の変化である「老眼」に関してもレーシックで治療することはできるのか、気になっているという方も多いのではないでしょうか。
今回は、レーシック手術で老眼を治療することはできるのか、という疑問にお答えするとともに、老眼の治療方法の選択肢についてご紹介していきたいと思います。
この記事でわかること
- レーシックで老眼を治療することはできるのか
- 老眼の治療方法の選択肢について
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レーシック手術とは
近視や遠視、乱視を治療する屈折矯正手術には様々な種類がありますが、国内で根強い知名度を誇る屈折矯正手術が「レーシック(LASIK)」です。
日本では2000年に厚生労働省から認可がおりて以来急速に普及しました。
レーシックは角膜にエキシマレーザーと呼ばれるレーザーを照射し、角膜のカーブを変えて屈折力を調整することにより屈折異常を矯正する視力回復法です。
手術時間は両眼約10〜20分程度で、手術費用は20〜40万円程度です。
手術時の痛みも少なく、早くて翌日には1.0以上の視力に回復すると期待できます。
レーシック手術で老眼を治療することはできるの?
老眼は加齢に伴って生じる視力の変化で、主に近くの物を見る際のピントが合わなくなる状態を指します。
目の病気ではなく人体にとってごく自然な老化現象の一つです。
老眼は目の中にある「水晶体」というレンズが硬くなったりその周りの筋肉のはたらきが弱くなることなどで起こります。
水晶体の弾力が失われると近くの物にピントを調節する機能が衰えていくのです。
レーシックはエキシマレーザーで角膜を削り、角膜の形状を変化させることで、近視をはじめとする屈折異常を矯正する視力矯正手術です。
レーシック手術を受けるとメガネやコンタクトレンズが不要になり、裸眼で快適に生活できるというイメージをお持ちの方も多いでしょう。
では、レーシック手術によって「老眼」を治療することはできるのでしょうか。
結論から先にお伝えすると、レーシック手術で老眼を矯正することはできません。
レーシック手術はレーザー照射によって角膜の形状を変化させ、屈折率を調節することで近視・乱視・遠視の屈折異常を矯正する手術です。
老眼は水晶体のピント調整能力が衰える現象であるため、角膜を変化させる手術であるレーシックでは老眼の矯正や改善をすることはできないのです。
レーシックで老眼を治療することはできませんが、老眼治療の選択肢自体は増えてきています。
老眼治療の新しい選択肢「老眼用ICL(多焦点IPCL)」
老眼の矯正方法としては、基本的に老眼鏡や遠近両用のメガネ・コンタクトレンズの装用などがあります。
老眼鏡やコンタクトレンズをなるべく使用せず、裸眼で近くの物が見える生活をしたい場合は、多焦点眼内レンズを使用した白内障手術や老眼用ICL(多焦点IPCL)を使用した手術が有効です。
通常のICL手術は水晶体自体には変化を与えないため、「老眼」の治療にはなりませんが、新しい治療法として、多焦点眼内レンズの構造を利用した「老眼用ICL(多焦点IPCL)」が開発されました。
ICL手術は単焦点型のレンズであるのに対し、老眼用ICL(多焦点IPCL)は遠方だけでなく近方にも焦点を合わせることができる多焦点型のレンズとなっているため、老眼の治療も可能になっています。
日本国内では現在厚生労働省未承認となっていますが、ヨーロッパでは2017年に安全基準を満たすCEマークを取得しています。国内でも多くの眼科・クリニックで老眼の治療方法として提案されています。
また、最近の研究では老眼の進行を遅らせたり軽減するための点眼薬が開発されています。
毛様体筋の動きをサポートし、ピント調整を改善すると期待されていますが、まだ広く普及しているわけではないため、こちらは今後に期待が寄せられています。
まとめ
今回は、レーシック手術で老眼を治療することはできるのか、という疑問にお答えするとともに、老眼の治療方法の選択肢についてご紹介させていただきました。
レーシック手術で老眼を治療することはできませんが、多焦点眼内レンズを使用した白内障手術や老眼用ICL(多焦点IPCL)など、老眼の矯正法の選択肢は存在します。
ご自身の目の状態やライフスタイル、希望の見え方などによって最適な矯正方法は異なりますので、まずは医師に相談してご自身に合う方法を選択してみてくださいね。
レーシック手術の内容や手術までの流れ、メリット・デメリットなどについてもっと詳しく知りたいという方はぜひ以下の記事も参考にしてみてくださいね。
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