海外で広く研究・開発されてきたICL手術という屈折矯正治療法が日本にも普及し、スターサージカル社製のICLレンズが厚生労働省に承認されてから10年以上が経過しました。
角膜を削ることなく裸眼で良好な視力を得ることができるICL手術は魅力も多く、手術を受けることを検討している方も多いことと思います。
しかし、ICL手術を受けてから10年が経過した後の視力はどうなるのでしょうか。
術後の視力の長期的な安定性や見え方はどのように変化するのか、気になりますよね。
今回は、ICL手術を受けてから10年経過したらどのような見え方になっているのか、長期的な安定性について解説いたします。
この記事でわかること
- ICL手術を受けると10年後どうなるのか
- ICL手術の長期的な経過について
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ICL手術を受けた場合、10年後はどうなってる?
ICL手術を受けようと考えている方の中には「ICL手術を受けた後、5年、10年経過したらどうなるのか」「何年かしたら視力が戻ってしまうのでは」といった点が気になっている方も多くいらっしゃると思います。
角膜を削ることで屈折異常を矯正するレーシックは術後数年で近視戻りが起こる可能性があると報告されています。
一方、ICL手術は20年以上の歴史を持つ屈折矯正治療ですが、術後10年以上経過した患者さんの視力低下はほとんど報告されておらず、元の視力に関係なく近視戻りが少ないと言われています。
このようにICL手術は長期的に視力が安定し、見え方の質も衰えにくいとされていますが、以下のようなケースでは視力が影響を受ける可能性があります。
①白内障
ICL手術が白内障を引き起こすリスクは極めて低いですが、40代後半から50代にかけて加齢によって白内障が発症したり、進行がみられることはあります。
ICL手術を受けたかどうかに関わらず加齢による目の変化は生じるため、10年後に白内障によって視力が低下したり、再手術が必要となる可能性はあります。
②レンズがずれる
ICLレンズは基本的に目の中で割れたり変形したりしない生体適合性の高いレンズであり、半永久的に使用できますが、顔や目に衝撃を受けるなどしてレンズが目の中でずれてしまうことがあります。
レンズがずれてしまうと視力が低下し、場合によっては再手術やレンズ交換が必要となります。
③眼圧の上昇
ICL手術後を受けたかどうかに関わらず、加齢などに伴う目の変化によって起き得ることとして眼圧の上昇が考えられます。
眼圧が上昇すると緑内障などの眼疾患につながることがあり、治療が必要となる場合があります。
ICL手術を受ける年齢によっても長期的な経過は異なる
ICL手術を受ける年齢によっても長期的な経過には違いが生じます。
例えば20代でICL手術を受けた場合、10年後は30代です。
しかし、30代で手術を受けた場合は10年後に40代、40代で手術を受けた場合は10年後に50代になっています。
40代、50代になると、老眼が始まったり、緑内障や白内障、加齢黄斑変性症など様々な目の病気のリスクが高まると言われています。
そうした加齢に伴う目の変化によって視力の低下が生じる可能性はあります。
20代でICL手術を受けた人の10年後と30代でICL手術を受けた人の10年後では目の状態や変化が異なると予想されます。
多くの場合、ICL手術で得られた良好な視力は長期間にわたり大きな変化はありません。
ICL手術後10年が経過したことによる視力低下ではなく、加齢などに伴う眼の状態の変化によって視力が影響を受ける可能性があるということです。
ICL手術で手に入れた視力を長期的に維持するためには、そうした目の変化に早期に対応し、症状が進行してしまう前に適切な治療を受けることが大切です。
緑内障などは自覚症状が少なく、気がついた時にはかなり進行してしまっているというケースも多いため、定期的に眼科で検診を受けるようにしてください。
まとめ
今回は、ICL手術を受けてから10年経過したらどのような見え方になっているのか、長期的な安定性について解説いたしました。
ICL手術を受けてから10年経っても視力の安定性は維持されることが多い一方、加齢に伴う眼の変化や、レンズの位置ずれ、眼圧の上昇などによって視力に影響が出たり、再手術が必要となる可能性はあります。
長期的に良好な視力を維持するためにも定期的に眼科検診を受けるようにしましょう。
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