左右の目でものの見え方が異なる「不同視」。
左右の目に屈折力の差がある場合に起き、ものが二重に見えたり、物との距離感が掴みにくいなどの症状があります。
目の不調だけでなく、頭痛やめまいといった体の不調につながることもあり、左右差が大きいほど症状も重くなります。
今回は、不同視の原因や改善方法について詳しくご紹介するとともに、「不同視の場合でもICL手術を受けることができるのか」についても解説します。
この記事でわかること
- 不同視とは何か
- 不同視の原因や治療方法
- 不同視の場合もICL手術を受けることはできるのか
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不同視とは
「不同視(ふどうし)」とは、左右の目の屈折力が異なる状態を指します。
「ガチャ目」と呼ばれることもあります。
左右の目で2D(ディオプター)以上の差がある場合に不同視とされます。
片方の目は正視で他方の目が屈折異常を持つ場合や、片方の目が近視で他方が遠視という場合など様々な左右差が考えられます。
不同視があると以下のような症状が出やすくなります。
- 目が疲れやすい
- 物が二重に見える
- 頭痛、めまい、吐き気、肩こりが生じる
- 距離感が掴みにくい
人は両目でものを見ることで遠近感や立体感を把握しており、それを「立体視」と言います。
不同視のように左右の目に視力差があると片目でものを見ているのと同様の状態になり、立体視ができなくなります。
そのため、不同視の方はものや人との距離感が掴みにくいといった状態が日常的に生じます。
また、視力の多少の左右差は通常は脳によって処理されていますが、視力の左右差が大きいと脳が処理しきれず、目が疲れやすくなります。
目の疲れだけでなく、頭痛やめまい、肩こりなどの全身の不調にもつながることがあります。
視力の発達期である幼少期に不同視になると「不同視弱視」と呼ばれる弱視に発展することがあります。
不同視のように視力の左右差があると視力が良い方の目ばかりを使って物を見てしまい、視力の悪い方の目が使われず、視力が発達しないことで弱視になってしまうのです。
不同視の主な原因は?
不同視は主に以下のような原因で起きるとされています。
屈折異常
屈折異常は、目の焦点が網膜上に正しく結ばれないことで視力が低下する状態を指します。
屈折異常には近視、遠視、乱視などがあります。
例えば片方の目が近視でもう片方の目が遠視である場合、左右の視力差が大きくなり、不同視が生じやすくなります。
斜視
斜視とは、両眼が同じ方向を向いておらず、片方の目が別の方向を向いている状態です。
左右の目でものの見え方が異なるため、視力差が生じて不同視を引き起こす一因となります。
射位(隠れ斜視)
射位(隠れ斜視)とは、両眼でものを見ている時は起こらず、片方の目でものを見る時に斜視が生じる状態です。
斜視同様、左右の視力差を生じやすく、不同視を引き起こす一因になります。
弱視
メガネやコンタクトレンズで矯正しても視力が上がらない状態を弱視と言います。
不同視によって弱視が引き起こされることもありますが(不同視弱視)、反対に弱視が不同視の原因になることもあります。
*弱視について
先天的な要因
不同視は、遺伝的な要因や生まれつきの視力によって発生することもあります。
生まれつき左右の目の奥行きの長さの違うと左右の屈折力に差が生まれ、不同視になる原因となります。
生活習慣
不同視は、片目だけを使う生活習慣が原因で起こることがあります。
テレビを斜めから見たり、寝転がってスマホを見たり本を読んだりと、片目ばかりを使う生活をしていると左右の視力のバランスが崩れ、不同視になる可能性があります。
正しい姿勢でまっすぐものを見るようにしましょう。
不同視の矯正・治療方法は?
不同視を改善するためにはいくつか治療方法があります。
不同視を引き起こしている原因によって治療方法やアプローチは異なります。
眼鏡やコンタクトレンズによる矯正
屈折異常が原因で不同視が生じている場合、眼鏡やコンタクトレンズが有効です。
軽度の不同視の場合は眼鏡も有効ですが、不同視が強く出ている場合は、目とレンズの距離が離れている眼鏡では改善できないことがあります。
不同視が強い場合はコンタクトレンズでの矯正が推奨されます。
斜視の手術
斜視が原因で不同視が起こっている場合は斜視の手術を検討する場合があります。
斜視の手術は眼球を動かす筋肉を調整し、両目が同じ方向を向くようにします。
成人の場合は局所麻酔のため日帰り手術が可能ですが、子供の場合は全身麻酔を行うため入院が必要になります。
不同視の場合、ICL手術を受けることはできる?
不同視(左右の視力差が2D以上)の方もICL手術を受けることができます。
左右の視力差を減らすことで、見え方の質を高めることに繋がる可能性もあります。
また、ICL手術は片目のみの施術も可能であるため、片目だけ屈折異常が強い場合は片目のみ手術を受けることもできます。
良好な見え方を実現するためにも、医師にしっかりと相談して手術を検討してください。
適応検査を無料で行っているクリニックもありますので、まずは話を聞きにいってみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、不同視の原因や改善方法について詳しくご紹介するとともに、不同視の場合でもICL手術を受けることができるのか、について解説いたしました。
不同視は、「ガチャ目」と呼ばれることもあり、左右の目の屈折力が異なる状態を指し、左右の目で2D(ディオプター)以上の差がある場合に不同視とされます。
不同視がある場合でもICL手術を受けることは可能です。屈折異常が原因で不同視が生じている場合、ICL手術で屈折異常を矯正することによって左右の見え方の差が小さくなり、不同視の症状が改善することも期待できます。
個々の状態によってもICL手術が不同視の改善に最適な手段かどうかは異なりますので、まずは適応検査を受け、医師に相談をしてみてくださいね。