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パイロット志望だけどICL手術を受けても大丈夫?パイロットの視力基準と屈折矯正手術

ICL手術は生体適合性の高い人工のレンズを目の中に入れることで近視をはじめとする屈折異常を矯正し、視力を回復させる治療法です。

ICL手術で使用するレンズは曇ったり汚れたりしないため、通常のコンタクトレンズのように日々の交換やメンテナンスが不要であり、裸眼での快適な生活が期待できます。

視力が重要視される職業の一つに「パイロット」があります。
パイロットになりたいけれど、視力が悪く悩んでいる方の中にはICL手術を受けることを検討しているという方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、パイロットを目指している方がICL手術を受けても大丈夫なのか、パイロットに必要な視力の基準や航空身体検査の規定と合わせて解説いたします。

この記事でわかること

  • パイロットに必要な視力
  • 航空身体検査の規定について
  • パイロット志望の人がICL手術を受けても適合となるのか

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パイロットに必要な視力はどのくらい?

icl パイロット

パイロットになるには学力のほか、様々な身体能力の基準を満たす必要があります。
視力はその中の重要な要素の一つです。

パイロットになりたい場合、どの程度の視力が必要となるのでしょうか。

「一般財団法人 航空医学研究センター」公式ホームページの「身体検査基準」に以下のように掲載されています。

第1種は自家用、第2種は事業用に必要となるライセンスです。

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第1種

次のイ又はロに該当すること。
ただし、ロの基準については、航空業務を行うに当たり、常用眼鏡(航空業務を行うに当たり常用する矯正眼鏡をいう。)を使用し、かつ、予備の眼鏡を携帯することを航空身体検査証明に付す条件とする者に限る。


各眼が裸眼で0.7以上及び両眼で1.0以上の遠見視力を有すること。


各眼について、各レンズの屈折度が(±)8ジオプトリーを超えない範囲の常用眼鏡により0.7以上、かつ、両眼で1.0以上に矯正することができること。

第2種

次のイ又はロに該当すること。
ただし、ロの基準については、航空業務を行うに当たり、常用眼鏡(航空業務を行うに当たり常用する矯正眼鏡をいう。)を使用し、かつ、予備の眼鏡を携帯することを航空身体検査証明に付す条件とする者に限る。


各眼が裸眼で0.7以上の遠見視力を有すること。


各眼について、各レンズの屈折度が(±)8ジオプトリーを超えない範囲の常用眼鏡により0.7以上に矯正することができること。

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不適合状態

上記基準を満たさないもの
オルソケラトロジーによる矯正
屈折矯正手術の既往歴のあるもの

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参照:一般財団法人 航空医学研究センター

不適合状態については、次の章で詳しくご紹介いたします。

パイロットに必要な視力基準

  • 遠距離視力は裸眼で両眼とも0.1以上、かつ矯正視力が1.0以上
    (※裸眼視力0.2未満の場合は-6.0D~+3.0Dを超えない屈折のレンズで矯正視力が1.0以上)
  • 近距離視力は両眼とも矯正視力で1.0以上

屈折矯正手術を受けているとパイロットの視力検査で不適合になる?

注目したい点は「不適合状態」という項目に「屈折矯正手術の既往歴のあるもの」という記載があることです。
この規定を見る限りでは、レーシックやICL手術などの屈折矯正手術を受けている場合は視力の基準を満たしているかどうかに関わらず不適合になってしまいパイロットになれない、ということになります。

しかし近年、適合条件が見直され、マニュアルに記載された条件を満たせば、適合の判定を得ることができるようになりました。
また、条件を完全に満たさない場合でも、国土交通大臣による判定を申請することができるようになりました。

身体検査基準における「評価上の注意」の項目に以下のように記載されています。

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評価上の注意

屈折矯正手術の既往歴があり、屈折矯正手術から6ヶ月以上が経過した時点において、症状が安定し、視機能が基準を満たしている場合は適合とする。

この場合において、手術記録を含む臨床経過のほか、以下の検査結果において、眼科専門医の診断により異常が認められないことを確認すること。

(1)視力の日内変動(同日3回以上の測定結果)
(2)コントラスト感度
(3)グレアテスト
(4)角膜形状解析

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参照:一般財団法人 航空医学研究センター

屈折矯正手術を受けていても、必要な検査を受けて異常が認められなければ航空身体検査で適合となるということです。

従来は屈折矯正手術としてメジャーであったレーシック手術を受けた人は有無を言わさず航空身体検査で不適合とされていました。レーシック手術を受けて視力の基準を満たしても、パイロットにはなれなかったのです。

術後の視力の安定性や長期的に見た時の影響、合併症のリスク等が十分に把握されていなかったことや、ハロー・グレアなどの夜間飛行時の視覚障害について懸念があったためと考えられます。

しかし時代にとともにレーシック手術の技術が進歩し、科学的根拠に基づいたデータが蓄積されたことによってレーシックの安全性や効果が認知されました。

それに伴い航空身体検査における方針も再検討され、レーシック手術をはじめとする屈折矯正手術を受けている場合も、先ほどご紹介した条件のもと認められるようになりました。

⚫︎「オルソケラトロジー」って何?

航空身体検査における不適合状態の一つに「オルソケラトロジーによる矯正」という記載があります。
オルソケラトロジーとは、特殊なカーブデザインが施されオルソケラトロジーレンズを就寝中に装用し、角膜の形状を一時的に変化させることで屈折異常を矯正し、日中を裸眼で過ごすことができるようにする近視矯正治療です。

オルソケラトロジーについてより詳しく知りたい、オルソケラトロジーとICL手術のメリット・デメリットを比較検討したい、という方は以下の記事もぜひご一読くださいね。

↓↓↓↓

オルソケラトロジーとは?ICL手術との違いやメリット・デメリットについて解説!

パイロット志望だけどICL手術を受けても大丈夫?

icl パイロット

屈折矯正手術を受けている場合でも、規定された条件を満たせば適合の判定を得ることができます。
条件を満たさない場合は、国土交通大臣による判定を申請し、その結果適合の判定を得られる可能性があります。

すなわちパイロット志望の方がICL手術を受けている場合でも、規定された条件をクリアしていれば航空身体検査に適合となる可能性があるということです。

航空身体検査の規定からはそのように判断できますが、ご自身の将来を左右する非常に重要な点であると思いますので、念のためICL手術を検討しているパイロット志望の方は航空身体検査指定医と眼科医に相談するようにしてくださいね。

ICL手術は近年レーシックをはじめとするそのほかの屈折矯正手術よりも注目度が高く、国内でも症例が増え続けています。

かつて航空身体検査で不適合とされていたレーシック手術が認められるようになったことを踏まえると、ICL手術も長期的な影響や合併症等への理解が進むことで、近い将来パイロット志望の方もより安心してICL手術を受けられるようになるかもしれません。

「視力が悪くてパイロットを目指せない」という方が、今後ICL手術を受けてパイロットになる夢を叶えられる、ということが当たり前になる日が来るといいですね。

まとめ

今回は、パイロットを目指している方がICL手術を受けても大丈夫なのか、パイロットの視力の基準や規定について解説いたしました。従来はレーシックなどの屈折矯正手術を受けたことがある人は問答無用で航空身体検査に不適合とされていました。

しかし現在は屈折矯正手術を受けている場合でも、規定された条件を満たせば適合となるというように方針が更新されました。規定上はそのようになっていますが、パイロットを目指しており、ICL手術を検討しているという方は、念のため航空身体検査指定医や眼科医に相談の上判断するようにしてください。

手術を受ける前に、ICL手術の流れやメリット・デメリット、レーシックとの違いや、合併症等のリスクについても知っておきたいという方向けに、以下の記事に詳しくまとめておりますので、こちらもぜひチェックしてみてください。
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