白内障手術で用いられる人工眼内レンズには大きく分けて「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」の2種類があります。
レンズの種類によって術後の見え方や、裸眼で過ごせるかなど生活の快適さに違いが生じるため、それぞれのレンズの特性や違いについて理解しておくことが大切です。
そこで今回は白内障手術で使われる単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの特性や違いについて解説していきます。
この記事でわかること
- 単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの特性
- 単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの違い
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単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの特性
白内障手術は白く濁った水晶体を取り除き、眼内レンズを挿入する手術です。
水晶体を取り除くとピント調節機能が失われてしまうため、水晶体の代わりとして眼内レンズを挿入しますが、眼内レンズは水晶体のように全ての距離にピントを合わせることはできません。
焦点が1つ、または2つ以上の眼内レンズから選ぶことになりますが、レンズによって術後の見え方や快適さが変わるため、重要な選択になります。
白内障手術で使われる眼内レンズは「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」の大きく2つに分けられます。
単焦点眼内レンズの特性
単焦点眼内レンズは焦点が1つの眼内レンズで、遠く、または近くのいずれか一方にピントを合わせることができます。
乱視矯正あり・乱視矯正なしがあります。
メリット
・ピントが合う位置は多焦点眼内レンズよりも鮮明にみえる
・保険適用のため費用の負担が少ない
デメリット
・手元または遠くの一箇所以外はピントが合わないため、術後も眼鏡やコンタクトの必要性が高くなる
多焦点眼内レンズの特性
多焦点眼内レンズは2点以上の距離に焦点を合わせられる眼内レンズで、こちらも乱視矯正あり・乱視矯正なしがあります。
現在選ぶことができる多焦点眼内レンズとしては
- 近方、遠方または遠方、中間距離など2点にピントが合わせられる「2焦点眼内レンズ」
- 近方、遠方、中間距離の3点にピントが合わせられる「3焦点眼内レンズ」
- 近方、遠方、中間距離、近中、遠中の5点にピントが合わせられる「5焦点眼内レンズ」
などがあります。
メリット
・複数にピントを合わせることが可能なため、術後は眼鏡やコンタクトレンズを使わずに生活できることが多い
デメリット
・術後のコントラスト感度が単焦点眼内レンズよりも悪い(見え方の質が低い)
・ハロー・グレアが生じることがある
単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの違い
単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの大きな違いは「焦点の数」です。
合わせられる焦点の数が違うことで、見え方に違いが生じます。
単焦点眼内レンズ |
多焦点眼内レンズ |
|
見え方 |
遠くまたは近くの一方が |
遠くと近く両方がよく見える |
眼鏡 |
必要 |
ほとんど不要 |
費用 |
保険適応 |
自費または一部保険適応 |
その他 |
ハロー・グレアが生じることがある |
多焦点眼内レンズは複数の距離にピントを合わせることが可能なため、距離ごとに光を振り分けることになり、1つの距離に対する視界の鮮明さが単焦点眼内レンズに比べて劣ります。
また、術後の見え方に慣れるまでに単焦点眼内レンズよりも時間がかかることがあるという点も知っておくと良いでしょう。
さらに、単焦点眼内レンズは健康保険が適用でき、費用負担が少ないのに対し、多焦点眼内レンズは一部を除いて自費となるため費用の負担が大きいという違いもあります。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、一概にどちらが良いとは言えません。
一人一人の目の状態や、眼鏡をかけたくないなど、ライフスタイルや要望に応じて選択する必要があります。
例えば単焦点眼内レンズは
- 夜に車の運転をすることが多い
- 手元を見る作業をすることが多い
といった方に向いており、
多焦点眼内レンズは
- 眼鏡をかけたくない
- 夜間に運転することが少ない
- 裸眼でスポーツなどを楽しみたい
という方に向いています。
眼内レンズの寿命は半永久的と言われており、一度入れたレンズはよほどのことがないかぎり取り替えることがないため、医師に要望をしっかりと伝えて相談するようにしましょう。
ICL手術に使われるレンズは主に「単焦点眼内レンズ」
白内障手術と異なり、ICL手術は自身の水晶体を取り除く必要がなく、ピント調節機能は温存されます。
そのため、使うレンズは多焦点眼内レンズである必要はなく、一般的にICL手術で使われるレンズは単焦点眼内レンズです。
日本のICL手術で使われるレンズメーカーは主に3社で、アメリカ・STAAR社製のICLレンズが最もポピュラーです。
ICLレンズの素材や種類などについてより詳しく知りたい方は以下の記事もぜひご一読くださいね。
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まとめ
今回は、単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの特性や違いについて解説いたしました。
それぞれにメリット、デメリットがあるため、白内障手術の際どちらのレンズを選べばいいか一概に判断することはできません。
一人一人の目の状態やライフスタイル、見え方の希望に応じて医師と相談の上選択するようにしてくださいね。
ICL手術後に白内障になった場合、眼鏡やコンタクトレンズ生活に戻ってしまうのか、どのような対応になるのか、などが気になる方は、以下の記事で詳しく解説していますので、こちらもぜひチェックしてみてください。
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