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レーシックはどんな手術?安全性やリスクは?屈折矯正手術「LASIK」を知ろう

近視をはじめとする屈折異常を矯正する治療法には様々な種類がありますが、その中でもレーシック(LASIK)は国内でも認知度が高い治療法です。

レーシックは、レーザーで角膜を削って角膜のカーブを変え、屈折力を調整することによって視力を矯正する手術です。

ICL手術を検討している方の中には、レーシックがどういった治療法でどんなメリット・デメリットがあるのかについても理解した上で自分に適切な治療法を選択したいという方も多いでしょう。

そこで今回は、レーシックについて詳しく解説いたします。

ICL手術との違いを理解し、最適な視力矯正方法を選択するための参考にしてみてくださいね。

この記事でわかること

  • レーシックとは
  • レーシックの歴史と安全性
  • レーシック手術の流れ
  • レーシックのメリット&デメリット

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屈折矯正手術「レーシック」について

icl レーシック

レーシックはエキシマレーザーと呼ばれるレーザーで角膜を削り、網膜上に焦点が合うよう角膜の屈折率を調整することで視力を矯正する治療法です。

手術時間は両眼で約10分程度と短く、手術時の痛みも少ないです。

翌日には98%以上の人が1.0以上の視力に回復すると報告されています。
メガネやコンタクトレンズが不要になり、裸眼でもクリアな見え方になります。

費用相場は15〜30万円前後です。

レーシックは安全性の高い手術といわれており、アメリカのFDAやヨーロッパで認可され、2000年には厳しい基準を有するとされる日本の厚生労働省からも認可がおりました。
以来国内で急速に普及し、多い年で年間約45万件ものレーシック治療が行われました。

国内外のレーシックの累計症例数は4,000万件以上と非常に豊富で、日本だけでも120万人以上の方がレーシックを受けているとされており、最もポピュラーな屈折矯正手術と言えます。

これほど多くの方が手術を受けた理由の一つは手術の安全性の高さであり、国内で眼科専門医が行ったレーシック手術で失明したケースはないとされています。

レーシックではエキシマレーザーと呼ばれるレーザーで角膜を削りますが、その前に「フラップ」という蓋のようなものを角膜の表面に作ります。

角膜の表面にカバーの役割をするフラップを作っておくことで手術後の傷を保護することができるため、レーシックは痛みが少なく、視力の回復が早いです。

従来は「マイクロケラトーム」という超小型の電動カンナを用いてフラップを作成するのが主流でしたが、近年は「イントラレーシック」という最新式のレーシックが開発されました。

イントラレーシックではフラップの大きさや厚さなどをコンピューターで制御でき、非常に安全に理想的な形状のフラップを作成することができます。
より薄く精密で滑らかなフラップを作ることができ、これまでレーシック手術が困難とされていた薄い角膜の方や強度近視の方にも治療が可能となりました。

レーシックの歴史と安全性

レーシックは1995年にアメリカのFDAで承認され、代表的な屈折矯正手術として海外で広まっていきました。
日本では2000年に厚生労働省より認められたため、5年ほど海外より遅れて認知が広がりました。

レーシックが日本で普及し始めた当初は手術費用が100 万円近くと高額でした。
アスリートや芸能人等の富裕層が受ける屈折矯正手術というイメージをお持ちの方が多かったと思います。

しかしレーシック手術を受けられる医療機関が増えて価格競争が起きたことで、今では15万円〜30万円ほどの手術費用で手術を受けることができるようになりました。

レーシック手術を受けたことを公表する著名人も多く、一般の方々にも手術の安全性など安心感が伝わったこともあり、レーシック手術の症例数は2008年には年間45万件という驚異的な件数にまで達しました。
しかし国内でレーシック手術による感染症が起きたと報道された2009年以降、減少傾向に転じました。

レーシック手術の最大のリスクは感染症とされています。
感染症を防ぐためには衛生環境や管理体制が大きく影響するため、感染症のリスクを最大限に下げるため衛生面など設備を整えている眼科・クリニックを選ぶことが大切です。

レーシック手術による感染症の発生が報じられた2009年以降、レーシックの安全性については世間的に大きくイメージダウンしている状態が続いているようです。

この記事に辿り着いた方の中にも「レーシックはリスクが高いイメージがある」という方もみえるのではないでしょうか。

しかし実際のところ、レーシックは高い安全性とすぐに視力が回復する有効性が認められています。
慶応大学医学部眼科学教室の発表によれば、レーシックの有効性や安全性を支持する研究論文は7,000以上も存在しており、手術を受けた患者の95.4%が結果に満足していると評価されています。

慶応大学医学部眼科学教室「屈折矯正手術の現状」

レーシックの仕組み

レーシックの仕組みを理解するには、まず人がものを見ている仕組み、そして近視など屈折異常が起こる仕組みを知る必要があります。

外から目に入ってきた光が角膜・水晶体を通り、屈折して網膜上で焦点を結び、像が写される、これが「ものが見える仕組み」です。

近視、遠視など屈折異常がある方は、本来網膜上で結ばれるはずの焦点が網膜の前後にずれてしまっています。
網膜上できちんと焦点が結ばれないことでぼやけたり、かすんだりしてしまい、いわゆる「視力が悪い」という状態になっているのです。

icl 素材

角膜は、入ってきた光を屈折させ、網膜に像を映す役割を持っていますが、角膜に屈折異常が生じていると網膜上に焦点が合わない状態になります。

レーザーで角膜を削り、角膜のカーブを変化させることで光の屈折率を調整し、網膜上に焦点が合うようにして視力を改善するのがレーシック手術です。
網膜上に焦点が合うようにすれば、はっきりとクリアな見え方になります。

眼鏡やコンタクトレンズ、ICL手術はレンズによって光の屈折率を変えて焦点を合わせることで視力を矯正しています。
それに対し、レーシックはレーザーで角膜の形状を変化させることによって焦点を合わせ、視力を矯正します。

レーシック手術までの流れ

レーシック手術を受けるまでの流れは以下の通りです。

適応検査

レーシック手術が受けられるかどうか、適応を判断するため、10項目以上の検査を行います。合計2〜2時間半程度の時間を要します。

視力検査、角膜形状の解析、角膜内皮細胞の検査、他覚的屈折検査、角膜厚の測定、細隙灯顕微鏡検査、眼圧の測定、自覚的屈折検査、眼底検査、瞳孔径の測定などの検査を行います。

コンタクトレンズの装用を中断

コンタクトレンズを使用している方は、適応検査前にコンタクトレンズの装用制限があります。コンタクトレンズを着けていると、角膜がコンタクトレンズの影響を受けた形状になってしまいます。
本来の角膜の形状を正しく測定するため、一定期間コンタクトレンズの装用を中止する必要があります。

角膜の形状が本来と異なる状態で検査を受けると、その検査結果をもとに手術を受けることになり、期待していた視力が出せない場合がありますので、必ず医師の指示に従い、コンタクトレンズの装用を中止する期間を守ってください。

コンタクトレンズの装用を中止する期間は、レンズの種類によって違いがありますが、目安は以下の通りです。

◆目安

ソフトコンタクトレンズ (乱視なし)・・・検査の3日以上前から
ソフトコンタクトレンズ(乱視あり)・・・検査の1週間以上前から
ハードコンタクトレンズ・・・検査の1週間以上前から

手術当日

レーシックは10分程度で完了する入院不要の日帰り手術です。
手術自体は短いですが、手術当日は前回の検査の時と眼の状態に変わりがないかを確認するため、再度検査を行います。
そのため手術当日は1〜2時間程度かかると思っておくと良いでしょう。

icl 屈折矯正 レーシック

洗眼

点眼麻酔

角膜実質にレーザーを照射し、角膜の表面にフラップを作成

フラップをめくり、エキシマレーザーで角膜実質層を削って角膜の屈折率を矯正する

照射後フラップを戻し、フラップ下を洗浄し異物を洗い流す

フラップが自然に接着されるのを数分間待つ

手術完了

手術当日はもやがかかったようにかすんで見えるため、当日は車やバイクなど乗り物の運転はできません。翌日には視界がクリアに見えるようになりますので安心してください。

検診

術後の検診は手術翌日、4日後、1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後が目安です。
医師によって検診時期が異なることがありますので担当医師の判断に従い通院してください。

術後は眼がデリケートな状況になるため、仕事等は手術の翌々日までお休みすると良いでしょう。その他にも入浴など術後の日常生活の制限がいくつかありますので、医師の指示を仰いでください。

レーシック手術のメリット

続いてはレーシックのメリット・デメリットについてお話していきたいと思います。

まずはメリットからご紹介します。

裸眼で過ごせるようになる

レーシック手術を受けると翌日には視界がクリアになり、よく見えるようになります。
眼鏡やコンタクトレンズによる矯正が不要になり、裸眼で過ごすことができます。
旅行時や災害時の眼鏡、コンタクトレンズの携帯を心配する必要も無くなります。

視力の回復が早い

レーシックは手術時間が10分程度と短く、翌日には視力が回復します。
早い人だと手術当日から視力が良くなったのを実感できます。

術後の痛みが少ない

レーシックは点眼麻酔のみで行う手術で、術中・術後ともに痛みが少ないです。
レーザーが当たっているような感覚もなく、特に痛みを感じることはありません。
まぶたを固定する器具を装着する際に、多少目が圧迫される感覚がありますが、さほどストレスを感じることもなく手術が完了するでしょう。

費用が比較的安い

レーシックは保険適用外のため自費治療の手術ではありますが、ICL手術やオルソケラトロジーなどの視力回復手術と比べると費用が安いです。

自費診療なので眼科・クリニックによって価格差はありますが、安いところで15〜18万円前後の費用でレーシックを受けることができます。

レーシック手術のデメリットやリスク

続いてレーシックのデメリットを見てみましょう。

適応範囲が狭い

レーシックは適応範囲が狭いことも大きなデメリットの一つです。
日本眼科学会のガイドラインによると、-6.00D以上の強度近視の場合は慎重適応、-10.00Dを超える場合は禁忌と定められています。
また、遠視、乱視の矯正については6.00Dまでが限界とされています。

また、角膜の厚みが薄い場合や、角膜形状不正にあたる方はレーシックを受けることができません。これらは適応検査によって判断されます。

-10D以上の強度近視の方や角膜が薄い方などはICL手術の方が適しています。

近視戻りの可能性がある

近視戻りとは術後数年ほど経過して視力が以前のような状態に戻ってしまうことです。
レーシックを受ける前の視力や角膜を削る量によって近視戻りが発生する可能性が異なりますが、手術を受けた方の4~5%に近視戻りが見られるとされています。

近視戻りの要因は、薄く削った部分が眼球内部の圧力で押され、カーブが強くなるからと考えられています。施術後に角膜の上皮の厚みが増し、当初予測していたよりも近視化するという説もあります。

近視戻りを起こしたとしても基本的に手術前と同程度まで視力が低下することはなく、裸眼視力0.7未満の軽い近視の状態になることが多く、手術前よりはよく見えていることが多いとされています。

視力が再び低下してしまった場合は、角膜の厚みが十分に残っていれば再手術を受けられる可能性があります。

ドライアイ

レーシック手術を受けた方の30%程度の方にドライアイの症状があらわれるという報告があります。

レーシックは手術の過程で角膜にフラップと言われる蓋を作成します。
角膜にフラップを作ると角膜の知覚神経が一時的に切断され、涙の分泌が減少してしまうことからドライアイが起こりやすくなります。
個人差はありますが、ドライアイの症状は術後1〜数ヶ月以上続く可能性があります。

ハロー・グレア

レーシック手術を受けた方の40%程度の方にハロー・グレアの症状があらわれると報告されています。

レーシックは角膜を削る手術であるため、削った部分と削っていない部分で段差が生まれます。そのため、夜間に瞳孔が大きくなると、光がにじんで見えたりぼやけて見えたりすることがあります。

3ヶ月から半年ほどで症状は落ち着き、ほとんどの方が順応して気にならなくなることがほとんどですが、症状が落ち着くまで点眼指導を行うこともあります。

ICL手術の合併症の一つ「ハロー・グレア」について眼科医が徹底解説!

感染症

レーシックは目の表面にある角膜のみに施す手術であるため、他の複雑な内眼手術に比べれば感染症は起こりにくいと考えられています。
しかし外科的手術である以上、感染症のリスクはあるということは理解しておく必要があります。

冒頭でもお話した通り、レーシック手術の安全面へのイメージを揺るがしたのも国内で起きた感染症の一件と言って過言ではありません。
万一感染症が生じた場合は、追加の治療が必要になります。

角膜混濁

術後一時的に角膜が濁り、視力が出づらくなることがあります。
万一起こった場合は抗炎症剤の点眼など治療を行います。

不正乱視

不正乱視は角膜の表面に段差があり焦点が合わないことで起こります。
フラップを戻す際、稀にわずかなシワやズレがあるまま固定されてしまう場合があり、そうすると不正乱視が生じます。
再度フラップをあけて洗浄し、シワやズレがないように戻すことで解決します。

フリーフラップ

ごく稀にフラップの厚みが均一にならずに穴が開いてしまったり、フラップが取れてしまうケースがあります。

そのような場合は手術を中断し、レーザーを当てずに角膜を元に戻します。
治療を施し、数ヶ月程度あけて角膜の状態が元に戻ったのを確認してから再手術を行います。

レーシックとICL手術との違いは?

icl レーシック

レーシックとICL手術の主な違いを表で比較してみましょう。

レーシック

ICL

手術方法

角膜をレーザーで削り
角膜の形状を変えることで
屈折異常を矯正する

角膜を数ミリ切開し
虹彩と水晶体の間に
レンズを挿入して矯正する

費用相場

約15〜30万円

約45〜80万円

見え方

見え方やコントラストが
変化する可能性がある

鮮明ではっきりと見える

安定性

近視戻りの可能性がある

近視戻りが少ない

適応範囲

角膜が薄い場合や
一定の強度近視は適応外

強度近視や
角膜が薄い場合でも適応

元に戻せるか

角膜を削るため
元に戻すことができない

角膜を削らないため
レンズを取り出すことで
元に戻すことが可能

レーシックとICL手術の最も大きな違いは「やり直しができるかどうか」です。
レーシックは角膜を削ってしまうため元に戻すことはできませんが、ICL手術はレンズを取り出すことで元の状態に戻すことができる治療です。

また、レーシックでは広範囲の角膜を削るのに対し、ICL手術では約3ミリ程度しか角膜を切開しないため、レーシックに比べてICL手術はドライアイを訴える患者さんが少ないとされています。

ICL手術は高額な屈折矯正治療ですが、レーシックと比較してメリットも多いため、視力矯正を考えている方であれば選択肢に入れることをオススメします。

レーシック、ICLのどちらにも精通しているという医師もいますので、自身のライフスタイルや要望にどちらの治療法が合っているか相談してみると良いでしょう。

以下の記事でICL手術とレーシックの違いについてより詳細に解説していますので、こちらもぜひご一読くださいね。

↓↓↓↓

眼科医が解説!ICLとレーシックの違いは?どっちがいい?見え方や安定性、後遺症など徹底比較

まとめ

今回は、日本国内で最もポピュラーとされる屈折矯正手術「レーシック」について詳しく解説いたしました。

視力を回復したいと考えている方の中にはICL手術とレーシックのどちらが自分に合っているのだろうと気になっている方も多いと思いますので、ぜひ当サイトの記事を参考にそれぞれの手術について理解を深めてみてくださいね。

ICL手術の流れやメリット・デメリット、合併症等のリスクについても詳しく知りたいという方は、以下の記事に詳しくまとめていますのでこちらもぜひチェックしてみてくださいね!

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【眼科医監修】ICL・眼内コンタクトレンズとは?治療のメリット・デメリットや費用について徹底解説!

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