ICL手術は、眼内にレンズを挿入することで近視をはじめとする屈折異常を矯正する視力回復手術です。日本でも安全性が認められており、2014年に厚生労働省から認可を得て、症例実績や執刀できる医師が増えています。
今回は、ICLで再手術になるケースや近視戻りの可能性について、そして再手術保証について解説いたします。
この記事でわかること
- 再手術になるケース
- ICL手術は近視戻りするのか
- ICL手術の再手術保証について
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ICLで再手術となるケースは?
ICLで再手術になるケースは主に以下の3つです。
度数が合わない
ICL手術で使用する眼内レンズのサイズや度数は術前検査やカウンセリングで時間をかけて慎重に決めますが、稀に度数が合わないなどして期待していたような見え方にならないことがあります。
早い方で翌日、一般的には数日〜1週間ほどで視力の回復を実感でき、1ヶ月前後で度数が合致しているかが判断できますが、想定していた見え方より見えにくいなど度数が合っていないと考えられる場合はレンズ交換のための再手術が必要になります。
また、近視を矯正しすぎることを過矯正といいますが、過矯正であった場合、近くのものが見えにくくなる遠視の症状が現れることがあります。
目標度数を遠視にならない度数に設定することで過矯正を防ぐことができますが、術前検査で誤差が生じるなどして過矯正になることが稀にあります。
過矯正を放っておくと眼精疲労や頭痛などの原因になるため、こちらも度数を合わせるためのレンズ交換が必要となり、再手術になります。
術後1〜6ヶ月、長くて3年まで保証期間を設けているクリニックが多く、大抵の場合こうした度数の合わない再手術は保証の範囲内であることがほとんどです。
しかしICL手術を受けたことによって近視の進行が止まるわけではありませんので、歳月が経過して視力に変化が生じ、レンズ交換の再手術が必要となる場合は保証が使えないので注意が必要です。
ICLのレンズがズレてしまった場合
ICL手術は眼内の組織に癒着しないため、レンズが摘出可能である点が利点としてよく挙げられます。
しかしその反面、レンズが完全に固定されていないために目に強い衝撃が加わると目の中でレンズがずれてしまうことがあります。
その他にもレンズのサイズが合わなかったなどの理由でずれることもあります。
目の中でレンズがずれてしまうことをレンズ偏位といいます。
レンズ偏位が生じたり、固定位置から外れて脱臼したりした場合は再手術が必要です。
また、稀に目の中でレンズが回転してしまうケースもありますが、視力に影響が出なければ再手術の必要はないと判断されることもあります。
しかし乱視用レンズの場合は眼内で回転してしまうと乱視矯正効果が失われてしまう可能性があるため、再手術が必要となる可能性が高まります。
角膜や水晶体の歪みは人それぞれ異なるため、乱視矯正用のICLレンズは個々に合った乱視軸(=乱視の角度)に合わせてレンズを作成しています。
一人一人の乱視軸に合わせられているため、乱視用レンズの場合は少し回転してしまうだけでも視力に影響が出てしまうのです。
目の病気を発症した場合
ICL手術後に感染症や合併症など目の病気を発症した場合は再手術が必要になる場合があります。
眼内炎をはじめとする感染症の発生確率は6000分の1程度とされており、確率はかなり低いですが、手術である以上リスクはゼロではないことを理解しておきましょう。
眼内炎は適切に処置をすれば重篤になることは稀ですが、ICLの摘出が必要になるケースもあります。
また、手術後に白内障などの病気を発症した場合もレンズを取り出し、白内障手術を受け直すことになります。
ICL手術によって生じた合併症の治療は一般的に保険適応にならないため、後述するように保証内容を確認しておくことが非常に重要です。
ICLは近視戻りすることはある?再手術保証はあった方がいい?
近視戻りとは、手術後しばらくしてから近視の状態に戻ってしまうことです。
強度の近視や乱視があるとレーシック手術後数年経過したときに新たな乱視や近視が出現する、または少しだけ近視が戻るといったケースがあり、場合によっては、再手術(タッチアップ)が必要になることもあります。
一方、ICL手術は、一度眼内レンズを挿入してしまえば近視や乱視が戻ることが少ないと言われています。
レーシックと比較して近視戻りが少ないという点がICL手術のメリットとしてよく挙げられます。
しかしICL手術で再手術になる可能性もゼロではありませんので、再手術保証がついているクリニックを選ぶことをおすすめします。
先ほどご紹介したように万一度数が合わなかった場合やレンズがずれてしまった場合は再手術が必要です。
短くても6ヶ月、長くて3年ほど保証期間がついていると安心です。
術後の合併症は保険対応にはならないことが多いため、ICL手術同様、自費診療となります。
治療費の負担が高額になる可能性があるため、保証期間、保証内容ともにしっかりとチェックしておくようにしましょう。
無料保証をレンズの取り出しに限定しているクリニックもあれば、再手術代、レンズ代ともに無料としているところもあります。
<よくある再手術保証の内容例>
・術後6ヶ月間 レンズ入れ替え 無料
・術後3年間 再手術代&レンズ代 無料 など
カウンセリングや術前検査を慎重に行った上で手術に臨みますが、万一度数が合わないなどで再手術が必要になった場合、費用負担を軽減するためにもこうした保証内容が充実しているクリニックを選択すると良いでしょう。
保証内容が充実している=手術費用が高い、と必ずしも比例しているわけではないので、いくつかのクリニックの保証内容と費用を見比べながら検討してみてください。
まとめ
今回は、ICLで再手術になるケースや近視戻りの可能性について、また、再手術保証があったほうが良いのかについてお話しいたしました。
ICL手術は近視戻りが少なく、再手術になるケースも稀ではありますが、度数が合わない・レンズがずれてしまったなどで再手術が必要となった場合に備えて、保証内容が充実しているクリニックを選んでおくと安心です。
ICL手術の流れやメリット、デメリットなどについては以下の記事に詳しくまとめてありますので、ぜひこちらもチェックしてみてくださいね。