「メガネやコンタクトの生活が煩わしい…」「裸眼で快適に過ごしたい」
こうしたお悩みからICL手術やレーシックなどの視力矯正手術を検討する方が増えています。
角膜を削ることなく、目の中にレンズを入れることで視力を矯正できる可逆性のある手術として近年ますます注目度が高まっているICL手術ですが、角膜の形状に異常がある「円錐角膜」の方は、手術が適応外となる可能性があります。
では「円錐角膜」と診断された方はICL手術を受けることは断念せざるを得ないのでしょうか。
そこで本記事では、円錐角膜とは何か、どんな症状なのか、そして円錐角膜の方がICL手術を受けることはできないのか、について詳しく解説していきます。
この記事でわかること
- 円錐角膜とは
- 円錐角膜の人はICL手術を受けることができないのか
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円錐角膜とは
円錐角膜とは、角膜の中央部が薄くなり、内側から外側に向けてかかる圧力(眼圧)に耐えられず角膜の中央部が円錐状に突出する病気です。
これにより角膜の形状が不規則になり、視力の低下や乱視の悪化を引き起こします。
円錐角膜の主な症状
初期
- いつもより光がまぶしく見える
- ものが二重に見える
進行すると
- 視界が歪んで見える
- 視力が急激に低下する
初期はほとんど自覚症状はなく、ある程度進行してくることで乱視の悪化などに気が付かれることが多いです。
また、自分では見え方の変化に気が付かず、屈折矯正治療などの精密検査を受けて初めて発覚するケースも少なくありません。
円錐角膜は主に思春期に当たる10代後半〜20代にかけて発症することが多く、両眼に現れるケースが多いです。
円錐角膜の原因は現代においてもまだ完全には解明されていませんが、遺伝的要因やコンタクトレンズの長期使用、目をこする習慣などが関与していると考えられています。
現在日本で円錐角膜を発症している方の割合は200〜300人に1人と言われています。
円錐角膜の治療方法
軽度の円錐角膜であれば、眼鏡やソフトコンタクトレンズの装用で良好な視力が得られます。
中等度になると不正乱視のため眼鏡やソフトコンタクトレンズを装用しても良好な視力が得られなくなり、ハードコンタクトレンズが必要になります。
さらに円錐角膜が進行すると、突出した角膜とレンズがこすれることで痛みが生じたり、レンズが外れやすくなったりすることがあります。
ハードコンタクトレンズの長時間の装用が難しい場合はソフトコンタクトレンズの上にハードコンタクトレンズを装用する「ピギーバック」という治療方法も選択されます。
前述した治療法では対応できないほど進行してしまっている場合、従来は角膜移植を行うほか手段がありませんでした。
しかし近年は角膜にビタミンB2の点眼と紫外線照射を組み合わせて行うことで角膜の強度を増し、現状の角膜形状を保持して円錐角膜の進行を抑えることができる「角膜クロスリンキング」という治療や、突出化した角膜形状を整えるために、骨組みとして1〜2本のリングを角膜内に挿入する「ICRS(角膜内リング)」という治療も行われています。
円錐角膜の人はICL手術を受けることができない?
円錐角膜の方がICL手術を受けられるかどうかは、進行度や角膜の状態によって判断が異なります。
進行性の円錐角膜はICL手術のガイドラインにおいて禁忌とされており、ICL手術を受けることができません。
しかし、進行が停止しており、角膜の形状が安定している軽度の円錐角膜の場合は慎重な判断のもとICL手術を受けられる可能性があります。
ICL手術は、目の中に小さなレンズを挿入することで視力を矯正する治療法であり、レーシックのように角膜を削るのではなくレンズを挿入して屈折率を調整するため、必要に応じてレンズを取り出して元の状態に戻すことができる(可逆性がある)という点が大きな特徴です。
レーシックは角膜を削るため角膜の厚みが重要になるのに対し、ICLは角膜を削る必要がないため、円錐角膜のような角膜の形状異常がある人にも理論上は適応しやすいと言われています。とはいえ、前述したように進行しているかや状態によっても異なりますので、円錐角膜の方が受けられるかどうかは医師による個別の診断が必要となります。
まとめ
今回は、そもそも円錐角膜とは何か、どんな症状が出るのか、そしてそのような人がICL手術を受けられるのかについて、詳しく解説いたしました。
円錐角膜の方がICL手術を受けられるかどうかは、病状の進行度や角膜の状態によっても判断が異なります。進行性の円錐角膜についてはICL手術は禁忌とされていますが、進行が停止しており、角膜の形状が安定している場合には、医師による慎重な判断のもと手術が行われることがあります。
まずは眼科専門医に相談し、精密検査を受けた上で適切な方法で屈折矯正治療を進めていきましょう。
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