視力回復を目的とした治療にはレーシックやオルソケラトロジーなどさまざまな方法がありますが、その中でも近年特に注目されているのがICL手術です。
ICL手術は比較的安全性が高い視力回復手術ですが、合併症や術後のリスクは気になりますね。
「網膜剥離」という深刻な病状のリスクを心配する声もあります。
ICL手術を受けた後、網膜剥離が起こる可能性はあるのでしょうか。
今回は、網膜剥離のメカニズムについて分かりやすく解説するとともに、ICL手術を受けた後に網膜剥離になってしまった場合、治療を受けることができるのかについてお話ししたいと思います。
この記事でわかること
- 網膜剥離とは
- ICL手術を受けたあと網膜剥離になったらどうする?
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網膜剥離とは?症状や原因について解説
網膜剥離とは「網膜」という目の中で最も内側にある透明な薄い膜が眼球の内側から剥がれてしまう病気です。
網膜は目の中に入ってきた光を刺激として受け取り、視神経を通して脳に資格情報を伝達する重要な役割を持つ目の組織で、カメラでいうフィルムの働きを担っています。
網膜が剥がれてしまうとその部分で光や物の形、色を感知することができなくなり、視力に重大な影響を与える可能性が高いです。
網膜剥離の症状としては、初期は黒いものが視界に飛んでいるように見える(飛蚊症)、光がチカチカと走る(光視症)、進行してくると視野が欠ける(視野欠損)などが生じます。
網膜剥離の範囲が網膜の真ん中の部分にまで及んでくると視力が大幅に低下します。
網膜剥離は痛みがないため自分では気付きにくいですが、万一視界に黒い異物が飛んでいるような症状や目がチカチカする症状などがあらわれた場合は早めに眼科を受診するようにしてください。
治療せずにいると失明に至る可能性もあるため、上記のような前兆がみられた場合は放置しないようにしましょう。
網膜剥離が起きる原因としては、加齢や糖尿病網膜症、外傷などが挙げられます。
いずれの場合も網膜に裂け目ができること(網膜裂孔)によって網膜剥離が進みます。
網膜の裂け目をそのまま放置してしまうと、その裂け目から網膜と下層の間に水分が入り込んでいき、最終的に網膜が剥がれてしまいます。
網膜の役割
網膜は目の最も内側にあり、厚さわずか0.1〜0.4mm程度の非常に薄い透明な膜です。
網膜は眼球の中に入ってきた光を視神経から脳に伝達する役割を担っており、カメラのフィルムに似た役割を果たしています。
眼球に入ってくる光は水晶体を通過する際に屈折し、網膜上で焦点を結びます。
網膜には光を感じ取ることできる「視細胞」という神経細胞が1億個以上存在しており、これらの細胞が光を信号に変換して脳に伝えることによって私たちはものを見たり色を識別したりすることができています。
網膜に映し出される像は私たちの「見る」そのものと言えます。
網膜が機能しているおかげで、私たちはさまざまな視覚情報を得ることができています。
網膜が傷ついたり剥がれたりしてその機能が失われると視力に大きな影響を与えることがあるため、網膜をはじめ眼病にいち早く気付けるよう定期的に眼科で検診を受けるようにしましょう。
ICL手術を受けた後に網膜剥離になったらどうしたらいい?
ICL手術後に網膜剥離が起きてしまった場合は、眼内レンズを取り外して網膜剥離の治療を受けることが可能です。
ICL手術は、術後必要があれば眼内に挿入したレンズを取り除くことができるのが利点の一つです。
網膜剥離に限らず白内障や緑内障などそのほかの眼病になってしまった場合も、レンズを取り出して適切な治療を受けることが可能なため、「ICL手術をしたことによって重篤な眼病の治療ができない」といったことにはなりません。
その点は安心してICL手術を受けることができるでしょう。
比較的安全性の高い屈折矯正手術であるICL手術ですが、手術である以上リスクは0ではありません。
合併症等のデメリットについてもよく理解した上で手術を受けるかを選択するようにしましょう。
まとめ
今回は、網膜剥離の症状や原因について解説するとともに、ICL手術を受けた後に網膜剥離になってしまった場合、治療を受けることができるのかについてご紹介いたしました。
網膜剥離は網膜という目の中で最も内側にある透明な薄い膜が眼球の内側から剥がれてしまう病気です。
網膜剥離は痛みがなく、自分では気付きにくいですが、飛蚊症や光視症などのような症状がみられた場合は網膜剥離の前兆である可能性もありますので、速やかに眼科を受診するようにしてください。
治療せずにいると失明に至る可能性もあるため、放置せず検診を受け、医師の判断を仰いでください。
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