目の前で蚊やゴミのような物が飛んでいるように見えたり、糸くずのようなものが浮いて見えたりする現象を「飛蚊症」(ひぶんしょう)と言います。
生まれつきの体質などによっても起こりますが、加齢によって発生することも多く、近視のある人にも発生しやすいといった特徴があります。
今回は、「飛蚊症」とは何か、症状や原因について解説するとともに、飛蚊症の症状がある場合でもICL手術を受けることができるのかについてお話ししたいと思います。
この記事でわかること
- 飛蚊症の症状と原因
- 飛蚊症の症状があってもICL手術を受けることができるのか
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飛蚊症(ひぶんしょう)とは
「飛蚊症」(ひぶんしょう)とは、空など明るいところや白いものを見た時に視界に糸くずやアメーバのような浮遊物が見える現象です。
蚊が飛んでいるようにも見えることから「飛蚊症」と呼ばれ、目を動かすと目と一緒に動いて見えます。
見える浮遊物は黒いものから透明なものまで色は様々で、1つ見える場合もあれば複数見える場合もあります。
視界の中心部に見えることもあれば、視界の端の方に見える場合もあり、見え方も人によって異なります。
日によって見えないときや、多数見えるようになったりと、症状の出る頻度も様々です。
あらゆる年齢層の方に起こり得る症状ですが、加齢に伴って生じることが多いため、中年層〜高齢者にかけて飛蚊症の症状が多く見られます。
また、近視の人にも多く見られるとされています。
飛蚊症はたいていの場合治療の必要はありませんが、その他の目の病気が隠れている可能性もありますので、症状がある場合は早めに眼科を受診することをおすすめします。
飛蚊症(ひぶんしょう)の原因
飛蚊症の症状が生じる原因としては以下のようなものが挙げられます。
- 先天的な原因
- 加齢による硝子体の変化
- 硝子体出血
- ぶどう膜炎
- 網膜硝子体ジストロフィ
- その他
飛蚊症は先天的な原因もありますが、多くの場合「硝子体の濁り」によって起きるとされます。
硝子体は99%が水分でできており、無色透明で、卵の白身のようなゲル状の組織であり、眼球内部の大部分を占めています。
硝子体は眼球の形状を保ち、水晶体を通して角膜から入ってきた光を網膜に伝えるという役割を持ちます。
硝子体は無色透明なので、角膜や水晶体を通って屈折して入ってくる光を目の奥までそのまま通すことができます。
眼球内部はこの硝子体という組織でしっかりと満たされているため、外部から加えられる力を和らげたり、衝撃を吸収してデリケートな目の組織を守ることができています。
上述したように硝子体は本来は無色透明ですが、何らかの原因で濁りが生じると濁りの影が網膜にうつり、蚊が飛んでいるように目の前に見えるようになります。これが飛蚊症です。
濁りが網膜に近ければ近いほどよりはっきり影が見え、濁りの大きさや量によって見えるものの形や大きさが異なります。
加齢とともに硝子体が萎縮すると、硝子体の後ろが網膜から剥がれ、剥がれ落ちた部分が黒い点のように見えることがあります。
また、硝子体は加齢に伴ってゲル状の物質の容積が減少し、液体成分の容積が増加します。
硝子体の中心部からこの硝子体の「液化」が発生し、周辺部に多く位置するゲル状の硝子体に細かなコラーゲンの繊維が集まります。
外から入ってきた光がこのコラーゲン繊維の集合体に当たり、網膜に影ができることで飛蚊症の症状がみられると言われています。
飛蚊症は治療した方がいい?
生理的な原因の飛蚊症の場合は基本的に治療の必要はないとされています。
飛蚊症は基本的に痛みや視力低下を引き起こすことはなく、症状が軽度であれば治療をせず経過観察するケースが多いです。
初期は症状が気になってしまいがちですが、見え方に慣れていくと気にならなくなり、生活に支障がない場合がほとんどです。
しかし、網膜剥離や網膜裂孔などの目の病気が原因で飛蚊症が起きている可能性もあるため、その場合は早急に治療が必要となります。
このように場合によっては治療が必要な眼病が隠れている可能性があるため、飛蚊症の症状が現れ始めた場合は、軽度であってもまずは一度眼科を受診しましょう。
特に下記のような症状がみられる場合は重篤な眼病が隠れている可能性がありますので、速やかに眼科を受診するようにしてください。
- 浮遊物の量や範囲が急増した
- 急激に視力が低下した
- 視界の一部分が欠けている
- 暗い場所で突然稲妻のような光が見える
飛蚊症がある場合でもICL手術を受けることはできるの?
ICL手術のガイドラインでは、飛蚊症がある方はICL手術を受けられない等の文言は特に記載されていません。
角膜が特殊な形状をしている、全身疾患があるなど、ICL手術の適応外となる条件はいくつかありますが、飛蚊症は含まれていないため、ICL手術を検討することは可能です。
ICL手術を受けたいと考えている方は、まず手術を受けたい医療機関を受診し、ICL手術の適応検査とカウンセリングを受けましょう。
飛蚊症であるかどうかに関わらず、目の状態や一人一人のライフスタイルによって適切な屈折矯正治療は異なるため、適応検査やカウンセリングを通じて担当医がICL手術を受けることができるかを判断します。
したがって飛蚊症の症状があるからといってICL手術を受けられないということはありません。
ICL手術を受けることができるかどうかは、まずは適応検査の結果次第になりますので、ICL手術を検討されている方は適応検査を受けに行ってみてくださいね。
適応検査代が無料であったり、予約不要のICL説明会を実施している眼科・クリニックもありますので、一度調べてみてはいかがでしょうか。
ICL手術の流れや費用相場、メリット・デメリットなどについて詳しく知りたいという方は以下の記事もぜひご一読くださいね。
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まとめ
今回は、飛蚊症とはどういった症状なのかや原因について、そしてICL手術を受けることができるのかについて解説いたしました。
飛蚊症は目の前で蚊やゴミのような物が飛んでいるように見えたり、糸くずのようなものが浮いて見えたりする現象です。
蚊が飛んでいるように見えることから飛蚊症と呼ばれます。
飛蚊症の原因は先天的なものから加齢によるものまでありますが、大抵の場合は治療の必要はないと判断されます。
しかし、飛蚊症の背景に他の目の病気が隠れているケースもあるため、症状が現れた場合はまずは一度眼科を受診しましょう。
特に、浮遊物の量や範囲が急増した、急激に視力が低下した、視界の一部分が欠けているといった症状が見られる場合は速やかに眼科を受診するようにしてください。